2005年09月01日

伊良部の民話 蛇婿入り

 近々、沖縄の多良間島と伊良部島にいきます。

  沖縄の異類婿入り譚資料から伊良部の昔話をご紹介します。

 昔話は目で読むものではなく、耳できくもの

  これも声に出して読んでみると、いっそう味わいがあるかと思います。

○蛇婿入り 伊良部町長浜          

                      語り手 松川カニメガ 昭和51年聴取



  昔よ、若い娘と、それから隣に年寄りの女の人と会っておったってよ。

   この若い娘のところに男が来るようになって、自分の前に来るときは、チョンマゲを上等に結んで男みたように来て、娘を抱いて行く行くしているのにあんなしておっても、もう誰かわかられんからよ、若い娘は、隣のお婆に聞いたそうだから、

「はぁい、自分の家には、もう上等にチョンマゲを結んだ誰ともわかられない人が、毎夜、毎夜来て、夜はいっしょに眠って、行く行くしているけど、これが誰かわからんねぇ」と。
   妊娠してまでもおったそうだから、娘が隣の年寄りに話したそうだ。で、

   「そうか、これはねぇ、わかなれなければ、上布の原料の苧(ぶぅ 麻の苧)ね、あれを,マグゥ(萱で編んで作った笊)のいっぱいつないでおって、あれに針の目にあれを抜いておって、これを髪に刺しておいて、後でたぐってこんなにして行けば、これは誰の男とあんたにはわかられる」

と年寄りが教えたそうだ。娘はこれを聞いて、

「そうか」

と、年寄りの言うようにやって、その娘が行ってみたらもう、これが大きな蛇になって墓の洞窟に入って行ったそうだ。

女は、この蛇とねむって妊娠していたそうだから、

「また、私はこんなにして行ってみたら、あんたの教えたとおりして行ってみたら、これが蛇になってる。あれの子どもを自分は妊娠しているから、私はこれをどんなにするかねぇ。蛇が生まれるかねぇ」

とまた隣のお婆に聞いてみたそうだ。で、隣のお婆は、

「心配するなよ。三月三日(村人が浜下り行事をする日)に海に行ってね、で、波を七回飛び越えて潮水を浴みれば、病気でも子どもでも、なんでも、もう流れていくからね、あんなにやりなさい」

と教えたそうだ。三月三日に教えられたとおり行って水を浴びたら、浜のいっぱいもう蛇が下りていって、

「あぁ、もうみんなもう下りていっているから、これは自分は生きることができるねぇ」とあれをやってきて、「お婆の教えるとおりやってみたら、あんなに蛇が浜のいっぱい出ていった。今からは、私は成功するだろう」と喜んで来て、お婆にお礼をしたら、

「よかったねぇ。もう今からは、体も健康していなさい。」と。その後からはこの娘も、上等になったという話も、お婆から聞いた。それから三月三日には、浜に下りて潮水を浴びなさいという話を聞いたよう。



      平成元年九月伊良部町発行『いらぶの民話』掲載話



「蛇婿入り」の話そのものは、沖縄に限らず、日本全国各地にあります。また、数々の異類婿入り譚、すなわち、昔話のうち婿としてあらわれる動物の第一位は「蛇」です。三輪山伝説をはじめとする、神婚もありますね。本土では、三月三日に桃酒、九月九日に菊酒を飲むといい、とか、頭に針を刺したらそれがもとで蛇は死んでしまった、とかいうパターンがわりと知られているかもしれません。

  沖縄の昔話は、どこか語り口につきぬけた明るさというか、拍子抜けするような・・・それもありか!みたいな風合いがあって好きです。



Posted by みおろら at 00:00│Comments(0)
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ところで今週は、株、FXとも激しい動きでしたよね。


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