2005年09月02日
伊良部の民話 犬婿入り
お次は、犬婿入りいってみます。同じ動物婿でも、蛇と犬とでは扱いがずいぶん違いますよね。
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犬婿入り 伊良部町仲地 語り手 西原マツ
昔よ、大きい犬を養っておって、戦争のとき敵の兵がもうたくさんだから、お父さんは、もう負けるかなあと思って、犬を戦争に連れて行ったそうだ。したら、その犬がねえ、戦のときにみんなに噛みつきて敵を殺してねえ、勝ち戦をして来たそうだ。でも、家に帰ってきて、その犬にうまいご馳走をこしらえて与えたら、
「私は、なにもご馳走はいらない」
とその犬はねぇ、食べないでおったそうだ。
「なんで食べないか。じゃ、あなたには何をさしあげるか。ご恩返しをばなにをするか」とお父さんが言うたら、
「娘を私に与えればそれが恩返しだ。私はその他にはなにをも欲しくない」と言った。これが助けてくれたから、お父さんも、どうしても犬のいうとおりにしなければならないと、この犬と娘を結婚させようと思っておってからに心配ながらも、もう娘を呼んでねぇ、
「お父さんの敵をば、この犬がみんな倒した。恩返しをばあんたをもらうと言うておる。こんなに言うておるからあんた犬の妻にならないかあ。」と言うたら、
「いいさあ、もう死ぬか生きるかと戦争に出てから、お父さんの命助けてくれてあるから、私は、お父さんの言うとおりにします」と。
お父さんは、「じゃあ、娘を犬に与える」と言うて、犬を呼んできて、
「あなた二人、夫婦しなさい。」と言うたら、犬は喜んで、そのときから飯もなにをも食べておった。
ある日、家族どうし座っておってたら、その犬が、
「私は、これから一週間の間は隠れていて、人にも見えないし、あんた方にも見えないように隠れているから、私の出て来るまでは私を捜すなあ」と言うて出て行ったそうだ。
「私は一週間隠れているから、私の出て来るときを待っていなさい。」と言うたけどねえ、出て行ってからもう六日なっていたそうだ。この女がねえ、
「六日なってね、物をも食わないでおって、もう死んでないかなあ。でもう、私は、それの妻としてからに、もう死んだらどうするかなあ。」
と思って、捜しまわってねえ、どこにいるかなあともう、家の周囲をもみんな捜してみたら、昔はカヤの束なんかをねえ持って来て、どこにも積んでおったってよう。それの中に犬が入っていたから、女がこれをカヤをみんなひとつずつ取って、捜してみたらそこにもう、きれいな男になってねえ、座っておって、
「なんであんたは、一週間私を見るなと言うたら見たか」
もう言うてから。犬にはここに尾があるでしょう。
「ここからここまでは人間になった。もう明日までおったら、この尾はないのに、これがもうすでるまでは、なんで、私を見ないでからなかったかあ。もう今からはだめだねえ」と言ったが、人に見られたからもう今からしかたないと、もう人間になって、きれいな男に生まれ変って出てきた。
だけど、ここの尾は、方言で言うズゥと言うが、犬のそれだけはあったそうだ。
「そこは、着物もつけるし、服を着けるから、人には見られんでしょう。」
ともう女は、こんなにきれえな男になって連れて来たら、もう人間になっているから、ともう、お父さんとお母さんはもう喜んで、結婚お祝いしておった。だけど、結婚して子どもを産んでみたら、顔の作り方はもう、みんな人間みたように、手も足もきれいに産まれたけど、犬の子どもだから、みんな尻には足があって産まれたそうだ。たくさん子どもを産んでねえ、成功してお父さん孝行として、食べたという話がある。これはお父さんたちから聞いた話だ。
平成元年九月伊良部町発行『いらぶの民話』掲載話
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犬婿入り 伊良部町仲地 語り手 西原マツ
昔よ、大きい犬を養っておって、戦争のとき敵の兵がもうたくさんだから、お父さんは、もう負けるかなあと思って、犬を戦争に連れて行ったそうだ。したら、その犬がねえ、戦のときにみんなに噛みつきて敵を殺してねえ、勝ち戦をして来たそうだ。でも、家に帰ってきて、その犬にうまいご馳走をこしらえて与えたら、
「私は、なにもご馳走はいらない」
とその犬はねぇ、食べないでおったそうだ。
「なんで食べないか。じゃ、あなたには何をさしあげるか。ご恩返しをばなにをするか」とお父さんが言うたら、
「娘を私に与えればそれが恩返しだ。私はその他にはなにをも欲しくない」と言った。これが助けてくれたから、お父さんも、どうしても犬のいうとおりにしなければならないと、この犬と娘を結婚させようと思っておってからに心配ながらも、もう娘を呼んでねぇ、
「お父さんの敵をば、この犬がみんな倒した。恩返しをばあんたをもらうと言うておる。こんなに言うておるからあんた犬の妻にならないかあ。」と言うたら、
「いいさあ、もう死ぬか生きるかと戦争に出てから、お父さんの命助けてくれてあるから、私は、お父さんの言うとおりにします」と。
お父さんは、「じゃあ、娘を犬に与える」と言うて、犬を呼んできて、
「あなた二人、夫婦しなさい。」と言うたら、犬は喜んで、そのときから飯もなにをも食べておった。
ある日、家族どうし座っておってたら、その犬が、
「私は、これから一週間の間は隠れていて、人にも見えないし、あんた方にも見えないように隠れているから、私の出て来るまでは私を捜すなあ」と言うて出て行ったそうだ。
「私は一週間隠れているから、私の出て来るときを待っていなさい。」と言うたけどねえ、出て行ってからもう六日なっていたそうだ。この女がねえ、
「六日なってね、物をも食わないでおって、もう死んでないかなあ。でもう、私は、それの妻としてからに、もう死んだらどうするかなあ。」
と思って、捜しまわってねえ、どこにいるかなあともう、家の周囲をもみんな捜してみたら、昔はカヤの束なんかをねえ持って来て、どこにも積んでおったってよう。それの中に犬が入っていたから、女がこれをカヤをみんなひとつずつ取って、捜してみたらそこにもう、きれいな男になってねえ、座っておって、
「なんであんたは、一週間私を見るなと言うたら見たか」
もう言うてから。犬にはここに尾があるでしょう。
「ここからここまでは人間になった。もう明日までおったら、この尾はないのに、これがもうすでるまでは、なんで、私を見ないでからなかったかあ。もう今からはだめだねえ」と言ったが、人に見られたからもう今からしかたないと、もう人間になって、きれいな男に生まれ変って出てきた。
だけど、ここの尾は、方言で言うズゥと言うが、犬のそれだけはあったそうだ。
「そこは、着物もつけるし、服を着けるから、人には見られんでしょう。」
ともう女は、こんなにきれえな男になって連れて来たら、もう人間になっているから、ともう、お父さんとお母さんはもう喜んで、結婚お祝いしておった。だけど、結婚して子どもを産んでみたら、顔の作り方はもう、みんな人間みたように、手も足もきれいに産まれたけど、犬の子どもだから、みんな尻には足があって産まれたそうだ。たくさん子どもを産んでねえ、成功してお父さん孝行として、食べたという話がある。これはお父さんたちから聞いた話だ。
平成元年九月伊良部町発行『いらぶの民話』掲載話
Posted by みおろら at 00:00│Comments(0)